2016年9月23日

【鼈口飴】物語が決まるまでの経緯

※本記事はネタバレがございますのでご注意ください

今回は鼈口飴が出来た経緯について書きます。

「HAND」完成後、私たちはもっと分かりやすくて気持ち良く終わる作品が作りたい!そう考えるようになっていました。次は絶対ポジティブな作品が良い、と盛り上がっていて、その中で出てきたアイディアが、開発中止になってしまった「でくのぼう」です。ポップで簡潔なストーリー、分かりやすいキャラクターでとても気に入っていたのですが、我々の力不足で最後まで(そもそも始めからなかなか進まず)仕上げることができませんでした(いつかリベンジしたいものです)。


さて、そんな中、やはりもうちょっとドロドロした人間の描写を入れたいという気持ちが湧きあがってきました。
その頃の私たちは、話や演出などをいろいろ参考にしようと演劇なんかも観に行ってまして、そのときの話の登場人物が皆酷い奴らだった訳です。全然共感できないし理解できないのですが、でも、人によってはちょっと愛着がわいたりして、なかなか面白いし味があるなぁという印象を受けました。
そういう訳で、今回は最低な主人公にしてみようか、と話し始めました。

一番初めは、周りの女性にだらしのない上に性格も最低というどうしようもない男の話を考えていましたが、当初考えていた、気持ち良く終わる作品にはならんだろうと没に。余談ですが、琥珀の元はこの時の主人公の見た目です。


次に思いついたのが、主人公は自己中心的な子供っぽい人間で、昼と夜パートがあるんですけど、夜の世界で気に食わない奴をぼこぼこにして憂さ晴らしする。そうすると、昼にそいつが“大変な目”に遭っている。そうして味を占めた主人公がどんどん嫌な奴をやっつけていく、みたいな話です。

この話のポイントは、「主人公が不幸だと思っている原因は、自身の未熟さ故」だということです。その観点で、話の分岐点を設置し、良いエンディングに向かう主人公の性格はマイルドにしていくよう変更しました(ここまで来ると、主人公が“クズ”という設定はだいぶ薄味に)。
ここで今の鼈口飴にかなり近づいてきました。

最良のエンディングは現在のエンディングと同じものですが、他にバッドエンドが存在しました。一つは周りの思いに気付けず、思い通りにならない自分の不幸を嘆いて、簪さんに縋るバッドエンドです。もう一つは、あまもりさんと同化したミツがひたすらボスを倒すというお遊びバッドエンドでした。

エンディング分岐自体は割と完成間近まで残っていたのですが、ミツの性格を考えてバッドエンドは要らないだろうと、削除することに決めました。

そんなこんなで、最終的には割と王道かつすっきりした話になったと思います。


ミツは良い子です。


こうして紆余曲折したようですが、骨子自体はもう2年前に出来てたみたいです。時の流れの早さに驚きました。

(しげまろ)